睡眠不足は頭痛や吐き気を招きパフォーマンス不足に

睡眠不足は頭痛や吐き気、記憶力や思考力の低下などを引き起こし、業務のパフォーマンスが低下しやすくなってしまいます。慢性的な睡眠不足に陥ると、うつ病のリスクも高くなる傾向があります。
睡眠不足が招く主な症状を見ていきましょう。

意欲や記憶力の低下

睡眠不足になると疲労が回復せず、脳の「前頭葉」と呼ばれる部分を中心に血流が低下します。血流が低下すると理解・判断・記憶力など認知機能が低下し、やる気が出ない・好きな事を楽しめなくなるなどの抑うつ傾向が現れる事が分かっています。
睡眠を十分にとる事で、やる気や認知機能を高める事ができます。

頭痛

自律神経とホルモンの乱れにより頭痛が起こります。
睡眠時間が不足すると自律神経が乱れ、活発な動きを司る「交感神経」が優位になった状態が続きます。疲労が溜まり血流が悪くなる事から頭痛が起こりやすくなるのです。

また、筋肉の緊張が取れず血液の流れが悪くなると、セロトニンというホルモンが分泌され血管を拡張します。血管が拡張されたことで脳の神経が刺激され頭が痛くなります。

吐き気、めまい、イライラなど自律神経失調症状

頭痛も自律神経の乱れが一因ですが、吐き気・めまい・だるさなども自律神経失調の症状です。他に肩こりや耳鳴り、不安感やイライラなどを伴うこともあります。

太りやすくなる

上記のように自律神経が乱れると、交感神経の働きが鈍くなり活動量が減って太りやすくなります。
睡眠時間が不足すると食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減り、食欲がわくホルモン「グレリン」の量が増えます。そして体がだるくなる事で活動量が減るので、消費カロリーも少なくなり結果太ってしまう人が増えるのです。

認知機能の低下を始め、体に様々な不調を引き起こす睡眠不足。
日本は主要28か国の中でも最も睡眠時間が少なく、睡眠の質も28か国中25位という調査結果があります。
2017年には「睡眠負債」という睡眠不足が借金の如く体に蓄積していき、心身に不調が起こる現象が流行語・新語大賞のトップ10にも選ばれました。
世界から見ても問題視されている日本人の睡眠不足ですが、経済的にはどのくらいの損失になるのかを見ていきましょう。

睡眠不足の諸症状がもたらす損失とは?

睡眠不足は約15兆円の損失という研究結果も

米国での調査では、日本で睡眠不足がもたらす経済的損失を計算すると約15兆円にのぼる事が明らかになりました。GDPの約3%にあたる額になりますので、日本経済にとって見過ごせない数字となっています。
厚生労働省の調査では、日本人の約40%は6時間未満の睡眠を続けているというデータがあります。年齢別では40代から50代にかけての働き盛りの年代が最も睡眠時間が短いと言われており、特に働く女性が最も短いとされています。

睡眠不足が続くとどうなるか

6時間未満の睡眠は1週間続けると1晩徹夜、2週間続けると2晩徹夜した際と同じくらい能率が下がるという研究結果があります。また15時間以上起きている状態では「酒気帯び運転」と同程度の作業能力になってしまいます。
免疫機能が低下し生活習慣病のリスクが高くなるだけではなく、睡眠時間が7~8時間の人より死亡率が2.4倍高くなるというデータもあります。

大切な自分の体と将来の為にもできれば1日7時間以上の睡眠を心がけましょう。
しかし多忙な時期はどうしても睡眠時間を確保するのが難しくなってしまいます。次は睡眠不足で体が辛い時の対策や解消法をお伝えしていきます。

参考:「睡眠負債に気をつけよう」(視点・論点) | 視点・論点 | 解説アーカイブス | NHK 解説委員室

参考:よい眠りは生活のデザインから:社会:オピニオン:教育×WASEDA ONLINE

早めに解消!睡眠不足の辛さを和らげる4つの方法

睡眠不足の日は眠気が気になり仕事に集中するのが難しいものです。
「今辛い」方のための、眠気を解消する4つの方法を見ていきましょう。

1.昼寝をする

辛い時には思い切って昼寝をしてしまいましょう。それ以上眠ると眠りが深くなり逆に体がだるくなってしまいますので、20分程度を心がけましょう。

2.コーヒーや紅茶を飲みカフェインを摂る

カフェインには覚醒作用があり約4~6時間は続くと言われています。コーヒーや紅茶などを1杯飲むだけで辛い眠気が楽になります。ただし飲み過ぎると胃腸が悪くなったり眠れなくなるなど体に悪影響がありますので、適量を心がけましょう。

3.メンソール系のガムを噛む

ガムをかむ事で疲労感が和らげられ、リラックスした状態になるという研究結果があります。よくプロ野球選手、特にメジャーリーガーがガムを噛んでいる姿が多く見られますが適度にリラックスした状態で競技に打ち込むためと言われています。
特にメンソール系の味や香りがついたガムは早く効果が表れる傾向にありますので、眠気でしんどさを感じる方はメンソールのガムを噛んでみましょう。

4.部屋の空気を入れ替える

室内の二酸化炭素濃度が高くなると人間は眠くなり、疲労感が増加します。
オフィスの窓を開けて換気をし、体内に酸素を送り込む事で眠気を撃退しましょう。

質の良い睡眠をとって、睡眠不足対策を

睡眠は量だけではなく質も大切です。特に十分な睡眠時間を確保できないビジネスパーソンは、質の良い睡眠を意識しましょう。
睡眠の質を高める方法をご紹介していきます。

寝る前にスマホやPCを見ない

スマホやPCから発するブルーライトは体のリズムを狂わせ、睡眠時間が減るだけでなく昼間の活動量を低下させてしまいます。ブルーライトの光はメラトニンという人間の睡眠・覚醒に関わる生体リズムを司るホルモンを抑えてしまい、寝る前に浴びると睡眠に悪影響となるのです。
寝る約2時間前はスマホやPCを見るのを避けましょう。

逆に「どうしても今日は〇時に起きたい」という時は、スマホのアラーム機能を使うと良いでしょう。

休みの日に「寝だめ」をしない

「平日に時間が取れないから休日にたくさん寝よう」とお休みに「寝だめ」をする方がいらっしゃいますが、逆に体内のバランスが崩れてしまいます。休日にあまりに長く睡眠をとるといわゆる「時差ボケ」の状態になってしまいますので、平日に比べて1時間程度長くする程度に留めておきましょう。

朝起きて日光を浴びる

朝に日光を浴びると、体内のリズムが整い質の良い睡眠を得る事ができます。
また起床後30分以内に日の光を浴びると「幸せホルモン」とも言われるセロトニンが分泌されます。セロトニンが分泌されると気分が安定し、うつ病のリスクが低くなります。
起きたらまずカーテンを開け、日の光を浴びるようにしましょう。

寝る1~2時間前に入浴をする

アメリカの研究で就寝1~2時間前に温かいお湯につかったりシャワーを浴びる事で、眠るまでの時間が短縮され睡眠時間も長くなる事が分かっています。
これは体温の変化によるもので、人間の体は熱を放出し体温が下がると眠りに入る「睡眠モード」に切り替わり、スムーズに眠りに落ちる事ができます。

入浴により体温が上がった後、血行が良くなることで体の熱が放出され体温が下がりスムーズに入眠できるのです。研究結果では睡眠の質も向上したと言われています。
この研究ではお湯の温度は40~42.5度でした。少し熱めのお湯で就寝1~2時間前に入浴すると睡眠の質が向上する可能性が高くなります。

まとめ

睡眠不足は仕事のパフォーマンスを下げ、従業員にも企業にも悪影響です。眠気の辛さは様々な対処法で乗り切り、なるべく1日に7時間以上、質の良い睡眠をとるよう心がけましょう。