従業員の高齢化がもたらす健康問題への対策として、近年多くの企業が取り入れている「健康経営」。
しかし「健康経営とは?」「どのように進めればいいのか?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、テーマ「従業員の高齢化によって顕在化する健康問題」における解決策として、健康経営とはどのようなものか、また導入するメリットやその方法についてもご紹介します。
企業の健康管理に興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

健康経営とは?

まずは健康経営がどういったものか、その基本をご紹介します。

健康管理を経営的視点から考えることが「健康経営」

健康経営とは「従業員の健康管理を『将来的な投資』と捉え、経営的な視点から戦略的に実践する経営スタイル」のことをいいます。
もともとはアメリカで1992年にロバート・H・ローゼンが『The Healthy Company』を出版したことから、健康経営の考え方が始まりました。

日本では、2006年にNPO法人健康経営研究会が大阪で設立され、「健康経営」が商標登録されたことで活発に議論されるようになります。
2014年からは政策課題として、企業に対して健康経営に取り組ませる環境づくりが進められました。
後述する「健康経営銘柄」・「健康経営優良法人」認定制度がスタートしたことで、日本においても「健康経営」が市民権を得つつあるといえます。

健康経営の詳細については、経済産業省により公開されている健康経営ガイドブックもご覧ください。
参考:経済産業省 企業の「健康経営ガイドブック」
参考:経済産業省 健康経営ハンドブック2018

※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です

【健康経営銘柄】優れた健康経営を実践する上場企業を認定

「健康経営銘柄(*1)」とは、経済産業省が東京証券取引所と共同で、「優れた健康経営を実践している上場企業」を選定・公表する制度です。2015年から毎年、公表が行われ、2019年2月には「健康経営銘柄 2019(*2)」として、花王やTOTOなど35社が選定されました。

この制度は、投資家にとって魅力ある投資対象として紹介することで、大企業による健康経営の取り組みを促進することを目的としています。
参考*1:「健康経営銘柄」(METI/経済産業省)
参考*2:「健康経営銘柄2019」に35社を選定しました! (METI/経済産業省)

【健康経営優良法人】健康経営への取り組む法人の認定制度

「健康経営優良法人認定制度(*3)」とは、健康経営に取り組む企業(上場企業に限らない)や法人を、日本健康会議(*4)が認定・公表する制度で、2016年に創設されました。2019年2月には「健康経営優良法人 2019」が公表され、大規模法人部門(*5)で816法人、中小規模法人部門(*6)で2501法人が認定されています。

制度の認定基準は、以下の通りです。

認定されると「健康経営優良法人」のロゴマークを使用でき、対外的に健康経営への取組をアピールことが可能になります。
参考*3:健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)
参考*4:日本健康会議
参考*5:健康経営優良法人2019(大規模法人部門)認定法人一覧
参考*6:健康経営優良法人2019(中小規模法人部門) 認定法人一覧

企業が健康経営に取り組むメリット

企業が健康経営に取り組むべき様々なメリットがありますが、そのうちの4つをご紹介します。

従業員の生産性・創造性の向上

健康リスクが減少すれば、従業員の生産性は向上します(日本労働研究雑誌*7)。
また「従業員を大切にする会社」であり、「長く働ける・働きたいと思う会社」だと従業員が実感することで、従業員の能力をフルに引き出すことができ創造性も向上します。

職場の風通しがよく、ベテラン社員も活躍できる職場となれば、従業員のモチベーションや業務効率の向上にもつながるでしょう。
参考*7:中小企業における労働生産性の損失とその影響要因|日本労働研究雑誌 2018年6月号(No.695)

組織におけるコストの削減

健康関連のコストの中で最も額が大きい項目が「健康上の問題で個人のパフォーマンスが上がらない状態」であるプレゼンティズムです。

健康問題が解決しプレゼンティズムが解消されれば、大幅なコストの削減につながります。
横浜市(*8)の報告によると、体調不良に伴う従業員一人あたりの労働生産性損失は年間76.6万円
例えば、社員100人の体調不良を解消できれば、年間7,660万円の損失を回避できることになります。

また、業務効率が向上すれば残業手当などが削減でき、人件費が減少
長期的にみれば、医療費が下がることで、健康保険料の抑制にもつながります。
参考*8:労働生産性損失は年間76.6万円(従業員一人当たり)!健康リスクと労働生産性損失の関係が明らかに! 県内初!~中小規模事業所を対象に健康経営の効果を測定(第1回調査結果)~ 横浜市

事故や不祥事を防ぐリスクマネジメント

健康経営の一環として、事故が起こりづらい環境を企業側が整備できれば、それは労働契約法上の「安全衛生義務」を果たしており、法的なリスクが解消されます。
また職場の風通しが良く、良好なコミュニケーションがとれていれば、従業員が不正や怠惰を互いに注意しあうようになり、不祥事を防ぐことにもつながります。

組織の業績・イメージの向上

上記に記載したメリットの結果として、業績の向上や対外的な企業イメージの向上が見込まれます。
その他、下記のような具体的なメリットも。

日本政策投資銀行による健康経営格付け、優遇金利制度

健康経営に優れた企業と認定されると、特別優遇金利が適用されます(*9)。
参考*9:DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付|DBJの金融サービス|日本政策投資銀行(DBJ)

市場からの高評価

下のグラフは、健康経営銘柄に選定された企業とTOPIXとの比較です。
健康経営銘柄に選定された企業が優位に推移しており、市場から高く評価されていることがわかります。

就活生にとって魅力的:優秀な人材の獲得

下のグラフからわかるとおり、就活生とっては給与よりも「健康や働き方」が重視されます。
少子高齢化の時代において、人材確保のためにも健康経営が重要になります。

健康経営を成功させる実践方法

健康経営を成功させるための実践方法として、3つの方法をご紹介します。

4つのステップで健康経営を実践

健康経営は、次の4つのステップに沿って実践していきます。

ステップ1:「健康宣言」を行う

経営理念の中に健康経営を落とし込み、「健康宣言」など企業として取り組む姿勢を社内外に発信します。
「経営者が先頭に立って取り組むことが、健康経営成功のカギ」といわれ、多くの経営者がホームページで健康宣言を行っています。
参考:コニカミノルタ
参考:ローソン

ステップ2:実施できる環境を整える

健康経営を実施できるよう、以下のような環境や体制を作ります。

  • 担当役員を決める
  • 担当者、担当部署を設置する
  • マニュアルや社内規程を作成する

ステップ3:具体的な対策をする

自社の健康課題を見つけ出し、課題を解消する対策を行います。
「コストをかけず、すぐにできる施策」から始めることが、健康経営を続けるためのポイントです。
例えば、以下のような対策を行います。

  • エレベーターではなく階段使用の励行
  • 社員食堂で栄養バランスの取れたメニューを提供
  • 管理栄養士による生活習慣の改善指導
  • インフルエンザ予防接種の費用負担

先行事例として、経済産業省 健康経営オフィスレポート(*10)も参考にご覧ください。
参考*10:経済産業省 健康経営オフィスレポート

ステップ4:取り組みの評価を行う

施策の効果を、経営陣を含めて確認し、その結果を次の取り組みに生かしていきます。PDCAサイクルを活用し、健康づくりを推進しましょう。
各ステップの詳細については、「企業の「健康経営」ガイドブック」(*11)をご覧ください。
参考*11 : 経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課「企業の「健康経営」ガイドブック」

「健康経営アドバイザー制度」で知識を体系的に学ぶ

「健康経営アドバイザー制度」は2016年に東京商工会議所が創設した制度で、次のような項目を学ぶことができます。

  • 健康経営がもたらすメリット
  • 具体的に実践する際のポイント

効果測定で一定の基準に達すれば、「健康経営アドバイザー(*12)」として認定され、認定証がダウンロードできます(認定期間は2年)。
パソコンやスマートフォンなどでも受講できるe-ラーニングですので、場所を気にせず受講可能。
2019年2月時点で12,107名が認定されており、企業の健康経営担当者には必須の資格といえます。
参考*12:健康経営アドバイザーとは |東京商工会議所

「コラボヘルス」で組織の健康傾向をつかむ

「コラボヘルス」とは、健康保険組合と企業が積極的に連携し、従業員の健康づくりを効果的に実行する仕組みです。
下図のように、企業と健保組合はそれぞれが独自のデータを持っています。
上記の「ステップ3:具体的な対策をする」では、まず「自社の健康課題を把握する」必要があり、その際にこれらのデータが重要になります。
このデータを持ち寄り、組織の健康傾向をつかむこともコラボヘルスの一環です。

まとめ

今回は健康経営についてご紹介しました。
従業員の健康管理が、医療費などの直接的なコスト削減だけではなく、生産性向上などによって業績アップにまで繋がることが、わかって頂けたかと思います。

少子高齢化が進む日本において、健康経営はこれからの企業経営にますます必要になっていくと考えられます。
ぜひあなたの企業でも、健康経営の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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