社内全体で妊娠・出産を喜べる、そんな企業にしたいですね。妊娠・出産に対するバックアップ体制が整っていれば、女性就労者の離職率は下がり、入職率や定着率はアップすることでしょう。
また、男性従業員も、奥様が妊娠・出産するときに家庭を重視できる環境であれば、女性就労者と同様のことが言えます。男女ともに妊娠・出産を喜べる環境であれば、マタニティハラスメントの発生を抑止でき、健康経営の推進にも繋がるでしょう。
そんな企業にするには、具体的にどうすればいいのでしょうか?部門ごとにできる取り組みをご説明します。


企業としてできる取り組み

まず、企業としてできることを見ていきましょう。

就業規則・社内制度を整える

就業規則に「産前・産後休業(産休)」や「育児休業(育休)」を定めることはもちろんですが、妊娠中から産後に関わる「母性健康管理」について定めることが必要になります。
母性健康管理とは、妊娠中および産後1年を経過しない女性が対象となる制度です。
具体的には、下記が挙げられます。

  • 女性就労者が妊婦健診へ行くための時間を確保できるよう、半日単位や時間単位での休みや早退などの希望を受ける
  • 妊娠中の通勤緩和として、始業時間を遅らせたり、フレックスタイム制の適用などの希望を受ける
  • 妊娠中の休憩は、時間の延長や回数の増加、時間帯の変更などの希望を受ける
  • 妊娠中は負担の多い作業(重いものを持つ、長時間の歩行や立ち作業、全身の運動を伴う仕事など)は避ける など

また、社内独自の制度を定めることで、より働きやすい環境を提供できます。
具体的には、下記が挙げられます。

  • 通勤困難な場合のリモートワークへの切り替え
  • 朝礼や、勤務前後の掃除などの免除(出勤時間の繰り下げ・退勤時間の繰り上げ)
  • 配偶者の出産休暇 など

規則や制度を利用しやすいよう周知する

規則や制度はあれど、それを利用すべき女性就労者が制度を知っておく必要があります。
周知する方法としては、下記のような方法が挙げられます。

  • 社内報やイントラネット、eラーニングによる制度の周知
  • 入社時の研修に取り入れる
  • 出産育児に関するハンドブックの作成

上記のほか、子育て中の先輩社員の働き方実例集のような資料があると、制度とその使い方を理解するのに役立つことでしょう。

関連記事:妊娠初期の従業員を守るためにできる5つの取り組み


総務部(人事部)でできる取り組み

企業が規則や制度を作り、それを総務部(人事部)はどう生かせるかを見ていきましょう。

相談窓口の設置

女性就労者が相談できる窓口を作ります。担当者を決め、個人情報が守られる相談スペースを準備することが大切です。女性同士のほうが話しやすい面がありますので、女性担当者を置くのがいいですね。
担当者は、相談者の所属長と連携することで、速やかで柔軟な働き方の提案や実施ができます。また、部署内で人員不足が起こったり、起こることが予想される場合は、他部署から応援を要請したり、新しく派遣従業員の配置、求人募集を出すなどの対応を取れます。

定期的なセミナーや社内研修の実施

妊娠・出産・子育て、これらに関する知識の習得や経験談を知る機会を社内で持つことは非常に有用です。外部から講師を依頼するほか、子育て中の先輩従業員との座談会やグループワークを実施することで、知識や経験を共有できるだけでなく、他部署や同じ悩みを持つ人同士との接点ができ、相談しやすい環境づくりにも繋がります。
また、働きやすい環境を作るための改善点が浮上することもあり、それを元に新たな対応策を考えることができます。

マタニティハラスメントに対する窓口の設置

マタニティハラスメントとは、妊娠・出産した方に対する精神的・肉体的な嫌がらせを指し、妊娠出産に関する制度の利用を妨げたり、勤務時間が短いことに嫌味を繰り返し言うなどが該当します。これらが起きた場合に、相談できる窓口を設けることが求められます。


上司ができる対応

企業や総務部の取り組みのほか、重要なのが直属の上司の対応です。

妊娠を祝福する姿勢が重要

妊娠の報告を受けたら、まずは「おめでとう!」とお祝いの言葉をかけるのがなにより重要です。この一言が、女性就労者の不安を取り去り、部署の空気を変えます。
仕事の配分や今後のことを考えると悩ましい部分もあるかもしれませんが、それは女性就労者に向けるべきことではないことを理解しましょう。

本人の希望を聞く機会を設ける

業務内容や通勤時間の緩和など、女性就労者の希望を確認しましょう。希望があれば、総務部の相談窓口スタッフと3者で面談することで、制度を利用しつつ部署にも女性就労者にとってもよりよい対応が取れます。
また、母性健康管理指導事項連絡カードについて紹介し、主治医との連携が取れることも伝えておきましょう。

部署内への報告は女性就労者の意向を確認する

初期の妊娠報告は、上司にだけ行うケースもあります。女性就労者が希望するタイミングで、部署内に妊娠報告ができるようにしましょう。

部署内の調整を実施

妊娠中の女性就労者の欠勤や勤務時間の減少によって、他の従業員への負担が少なからず増すことは確かです。しかし、妊娠や出産以外にも病気やけが、介護など、誰でも同様の状況になることはあります。「お互いさま」の関係が築けるよう、フォローするのは上司の重要な役割です。
また、フォローが部署内では難しいと判断したら、速やかに総務部に対応を相談しましょう。部署内で無理に対応を続けると、マタニティハラスメントを生みやすくなってしまいます。


同僚ができる対応

妊娠中の女性就労者を一番近くで支えるのが、同僚です。

業務をサポートする

重いものを持つときは持ってあげる、階段ではなくエレベーターの使用を勧める、欠勤日の対応内容を報告するなど、さりげないフォローや声かけは、妊娠中の女性就労者が働きやすい環境において非常に重要です。

空調の設定変更は慎重に

妊娠中はからだを冷やすことは避けたほうがいいため、夏場に暑いからと設定温度を10度台にするのは控えましょう。

業務増加などの不満を女性就労者にぶつけない

欠勤や時短勤務など、女性就労者の勤務時間減少に伴い、いろいろ影響が出るでしょう。しかし、それは女性就労者のせいではありません。不満をぶつけることでマタニティハラスメントに繋がる可能性がありますので、「お互いさま」の精神で、寛容に受け止める姿勢が大切です。改善の要望がある場合は、上司や総務部の相談窓口を利用しましょう。

マタニティハラスメントを見た場合は報告する

もし、妊娠中の女性就労者に対して、マタニティハラスメントと思われる対応があった場合は、総務部の相談窓口に報告しましょう。見て見ぬふりも、間接的にハラスメントになってしまいます。


妊娠中の女性就労者ができる対応

最後に、妊娠中の女性就労者本人がスムーズに働くために必要な対応について見ていきましょう。

感謝の気持ちを常に持つ

企業や上司・同僚などのフォローに対して、女性就労者が感謝の気持ちで対応することがとても大切です。感謝を求めてフォローをしてくれるわけではありませんが、「ありがとう」の一言や態度は、人間関係の潤滑油になります。
決して、フォローしてもらって当たり前と思うことのないようにしましょう。

できないことは自ら伝える

周りが察してくれるのを待つのではなく、手伝ってほしいことやできないことは明確に周りに伝えましょう。自分から伝えることが難しい場合には、上司や相談窓口に相談するのもいいですね。

マタニティハラスメントを受けた場合は報告する

マタニティハラスメントと思われる対応があった場合には、上司や総務部の相談窓口に伝えることが重要です。エスカレートする前に対応を求めましょう。


まとめ

妊娠・出産は奇跡です。その奇跡を間近に感じ、新しい生命の誕生を祝うことができるのは素晴らしい経験と言えます。しかし、昨今の不景気や人手不足は、その経験を否定的に捉えることに繋がっています。
妊娠・出産という経験の共有を、素晴らしいと取れる環境にするか、否定的にとらえる環境にするかは経営者の手腕が物をいいます。ぜひ、マタニティハラスメントとは無縁な企業を作り上げ、健康経営の実践を目指しましょう。


女性の働き方に関する他の記事も読まれています

  1. 妊娠初期の従業員を守るためにできる5つの取り組み
  2. マタニティハラスメント抑止!妊娠・出産を祝福する組織にするための取組とは?
  3. 「妊娠は病気ではない」が命を落とすこともある!管理職が知っておくべき妊娠合併症と企業としての対処法
  4. 女性就労者が安心して産休に入るために必要なサポートとは?
  5. 子育て中の女性従業員にテレワークを導入!そのメリットとデメリットとは?
  6. スムーズな育休復帰をサポートするための6つの方法

女性が健康的に働くために、スマート体調チェック™️がお手伝い

生理痛や妊娠、更年期障害など、女性特有の健康問題は働く人も、企業も軽視できない問題です。
それでも、言いづらい、迷惑をかけたくない、などの心遣いで逆に問題が届かなくなってしまうのも事実かもしれません。

スマート体調チェック™️であれば、トイレを使うだけで健康のバランスをチェックすることができます。
スマート体調チェック for biz™️なら、データで従業員の健康を守ることも可能です。

言いづらいこともアプリで「見える化」、今すぐチェック。
> スマート体調チェック™️