出産を無事に終え、育休(育児休業)を数カ月から数年取った後、仕事に復帰する日がやって来ます。この育休復帰は、女性にとって大きな不安とプレッシャーを感じるライフイベントであり、失敗すれば退職を選択せざるを得ない状況になる場合もあります。

その状況に対し、企業側が、マネージャー、管理職が働く女性をどうサポートするかは、健康経営という観点でも、注目したいポイントになります。復帰までに企業側ができるサポート方法を6つご紹介します。


スムーズな育休復帰を阻む因子は?

育休復帰時も復帰後もさまざまな壁が女性就労者の前に立ちはだかります。育休復帰の壁について詳しく見ていきましょう。

保育園が決まらない

平成31年4月1日時点で、「待機児童」は全国に16,772人おり、さらに保育園などに入れていないのに、さまざまな理由で待機児童の集計から除外された「潜在的待機児童」は73,927人に上ります。育休復帰の場合、保育園に入れる優先順位は高いですが、保育園の希望者が多い自治体ではそれでも決まらないことも珍しくありません。

決まった保育園が遠い

通勤経路の近くに保育園がない場合、その分だけ通勤時間が多くかかります。早朝から出発し、帰宅時間も遅くなるため、女性就労者はもちろん、子どもの負担もかなり大きくなることでしょう。

兄弟で保育園が離れた

保育園の送迎を2箇所以上することになれば、その労力は大変なものです。毎日の送迎はもちろん、参観日や運動会などのイベント時には、仕事の調整が難しくなります。

子どもの急な病気やけがに対応できる人がいない

子どもが病気やけがで長期に保育園を休む場合、母親(従業員)以外の人間に応援を要請できる環境にあるかは、育休復帰の鍵を握ると言っても過言ではありません。

保育園児の病欠頻度に関する研究では、園児 1 人当たりのクラス別の年間病欠日数は、下記のとおりになります。*1

0 歳児クラス:19.3 日
1 歳児クラス:12.8日
2 歳児クラス:8.9日
3 歳児クラス:7.0日
参考*1 : 東京女子医科大学雑誌第87巻第5号 保育園児の病欠頻度に関する研究

あくまでも平均なので、体調を崩しやすい子の場合、1歳児クラスの子でも年間60日以上病欠というケースもあります。
実家が遠く、頼れる人がいない場合や夫が休める状態にない場合、子どもが病欠時の預け先の確保は重要項目の1つです。

産後の免疫力低下により体調を崩しがち

産後は、ホルモンバランスの変化や、慣れない育児、睡眠不足などにより、免疫力が低下しやすい状態です。さらに、保育園などで子どもが風邪をもらいやすいため、母親も感染する可能性が高くなります。子どもは回復したものの、次は自分が感染してまた休むことになるというケースは珍しくありません。

仕事復帰に対する不安感

育児に大部分の時間を割く状態から、復帰によって仕事と育児の両方を担う状態になることへの不安感は多くの女性就労者が感じています。
厚生労働省の調査では、休業取得前の感覚に戻るのに必要だった期間は、育休期間が1年以内の場合は「復職後、比較的すぐに」が約44%、「復職後3か月くらい」が約26%という結果になっています。さらに、育休期間が1年を越えると、「復職後、比較的すぐに」が約33%、「復職後3か月くらい」が約22%と、1年以下の場合より感覚が戻るまでに時間を要することがわかります。*2
参考*2 : 厚生労働省 育児休業等取得による新たな課題 ~職場復帰、継続等


育休復帰の壁を越えられないとどうなる?

先述のように、育休復帰にはさまざまな壁があります。その壁をもし越えられなかった場合どうなるのでしょうか?

育休の延長

保育園が決まらない場合、育休を延長することになります。シッターを雇うという選択肢もありますが、高額になるため現実的ではないでしょう。
育休は、最長、子どもが2歳になるまで延長が可能です(ただし、条件を満たした場合)。しかし企業としては、育休の延長によって人員不足のままさらに待つことになり、派遣の手配やそのコストが増すため、できれば避けたい事象です。

部署での孤立

育休明けの仕事は、数カ月~1年以上のブランクがありますので、スムーズにいかないこともあります。また、女性従業員自身の体調不良や子どもの体調不良などで早退や欠勤が多い場合には、周囲への負担が増すことから、人間関係に支障をきたすことにも繋がりかねません。

休職・退職

育休を延長しても保育園が決まらない場合や、復帰後のストレスや過労、病気による体調不良、職場の人間関係悪化など、仕事を続けられない状況に陥った場合、女性従業員が休職や退職を選択することは珍しいことではありません。
そうならないためにも、育休復帰前のサポートが重要になります。


スムーズな育休復帰をバックアップする6つの方法

企業が、育休復帰予定の従業員をバックアップするにはどんなサポートが必要でしょうか?その方法を6つご紹介します。

1.育休中に面談の機会を設ける

育休中から、復帰に向けたアプローチを企業の取り組みとして行うことが大切です。復帰日に数カ月ぶりに企業を訪れるのは、育休明けの従業員にとってもなかなかハードルが高く、部署側としても近況を知っているほうが受け入れやすいでしょう。
面談内容としては、保育園の申請状況(保活状況)の確認や復帰日、復帰後の勤務時間、業務内容などについての希望を確認します。

2.育休復帰セミナーや先輩との面談の機会を設ける

外部講師を招いたり、子育て中の先輩社員の経験談を聞ける場を設けます。復帰に必要な情報や保活情報などを知ることができ、復帰に向けて必要なことが明確化できます。

特に待機児童の多い地域では、「0歳の段階で入園したほうが定員の関係で入りやすい」、「実家に預けて働くことで実績を作れる」などの保活テクニックを伝授してもらう機会になるため、企業側で積極的に機会を設けましょう。

3.制度の紹介

育休復帰後に、従業員を支える子育て支援制度を紹介し、利用の希望を確認しましょう。

  • 育児時間
    子どもが1歳未満の場合、1日2回各々30分間の育児時間を請求できます。
  • 育児短時間勤務制度
    子どもが3歳未満で、一定の条件を満たす場合、1日原則として6時間の短時間勤務が可能です。
  • 所定外労働の制限
    子どもが3歳未満で、一定の条件を満たす女性就労者からの請求があった場合、残業をさせてはいけません。
  • 時間外労働の制限
    子どもが小学校就学前で、一定の条件を満たす女性就労者からの請求があった場合、1か月24時間、1年150時間を超える残業はさせてはいけません。
  • 深夜業の制限
    子どもが小学校就学前で、一定の条件を満たす女性就労者からの請求があった場合、深夜(午後10時から午前5時まで)の労働をさせてはいけません。
  • 子の看護休暇制度(小学校就学前の子1人の場合5日、2人以上の場合10日、1日または半日単位)
    子どもが小学校就学前の女性就労者からの申し出によって、年次休暇とは別に1年につき5日間(2人以上の場合10日間)の看護休暇を取得できます。病気やけがのほか、予防接種や健康診断の場合にも使えます。
  • パパママ育休プラス
    両親がともに育児休業を取得する場合、子どもが1歳までの休業可能期間が、1歳2か月までに延長されます。
    夫が同じ企業の場合は、この制度を利用して、妻が育休復帰時に夫が育休を1~2カ月程度取ると、妻の復帰がスムーズになります。

これらの制度をうまく使うことで、復帰直後の心身ともに辛い時期を乗り越えることができ、子どもの体調を重視した対応を取ることも可能になります。

4.社内独自の支援体制を制定

既存の子育て支援制度とは別に、独自の社内制度を整えることで、育休復帰の壁を乗り越えやすくなります。例としては、下記が挙げられます。

  • 病児シッターや病児保育の費用を(一部)負担
  • フレックスタイム制の導入
  • リモートワークへの切り替え
  • 企業内保育園や託児所の設置 など

これらの制度を組み合わせることで、効率よく、負担を最小限にした働き方が実現します。

5.子どもが病気のときの対応法を紹介

子の看護休暇以外に利用できる社内制度があれば紹介しておきましょう。また、病児シッターや病児保育施設などの利用は事前登録が必要なので、育休中に見学や登録をしておくことを勧めると親切です。

6.スキルアップ支援

育休中に希望があれば、スキルアップのための自己啓発支援(e-ラーニングの提供や費用補助等)や、パソコ ンの貸与を行うことも検討してみましょう。スキルアップすることで、女性就労者が復帰に向けて自信を付けることができ、復帰後の活躍の場も広がります。


まとめ

育休復帰は、女性就労者にとって身体的にも精神的にもハードルの高いライフイベントです

。さらに女性就労者だけでなく、子どもにとっても大きな変化になるため、親子で辛い時期になることが予想されます。

そんな育休復帰をスムーズに迎えるには、企業のサポートが重要な鍵になります。妊娠出産を経験し、子育てに奮闘する女性就労者は、タイムマネジメント能力に長け、トラブル収拾能力も鍛えられているため、サポート次第でさらに大きな戦力になってくれるはずです。育休復帰を乗り越えられるよう、全力でサポートし、女性が働きやすい環境を整え、健康経営を推進していきましょう。


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