働き方改革が進み、テレワーク(リモートワークともいう)を導入する企業が増えてきました。中でも子育て中の女性社員のテレワークは、子育てと仕事を両立させ、生活のゆとりを生み出す働き方として、健康経営の面からも注目されています。
テレワークを導入するメリットとデメリットを、子育て中の女性社員と企業の双方の立場から、考えてみましょう。
テレワークとは?
「テレワーク」とは、「テレ=離れたところ」で働くことを意味し、「リモート=遠隔」で働くことを指す「リモートワーク」と同義です。
厚生労働省の定義としては、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」 となっています。*1
テレワークには、オフィスへの出勤をせずに自宅で就業する「在宅勤務」、移動中の乗り物の中や顧客先などで就業する「モバイルワーク」、所属するオフィス以外の場所を就業場所とする「サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)」の3つの形態があります。*1
参考*1 : 厚生労働省「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」
このうち、最も多く導入されているのが「モバイルワーク」、次が「在宅勤務」です。*2
テレワークを導入する企業は年々増加しており、平成30年には26.3%の企業がテレワークを導入、または具体的な導入予定がある、と回答しています。*2
参考*2 : 総務省「平成 30 年通信利用動向調査の結果」
子育て中の女性社員にとってのメリット
子育て中の女性社員が、仕事と子育てを両立させるには心身に大きな負担がかかりますが、テレワークを利用することで、負担軽減に繋がることが期待できます。
子どもの体調に合わせて勤務場所を選べる
子どもが病気をすると、通院や看病が必要になり、欠勤することになります。テレワークにより自宅を勤務場所にできれば、仕事と子育ての両立が可能です。
フレックスタイム制度の併用により、テレワークで勤務時間を埋め合わせられる
フレックスタイム制度を併用することで、早朝や夜間など子どもが寝ている時間を勤務に充てることができます。退勤時間を早め、育児や家事を済ませた後にテレワークを行い、フルタイム勤務にするという働き方も可能です。
通勤が必要ないため、保育所への送迎だけで済む
保育所が自宅や勤務先から遠い場合、保育所への送迎と通勤で多大な時間を取られます。テレワークによって満員電車での通勤が不要となり、保育所への送迎だけで済めば、社員の体力的・精神的な負担が軽減するでしょう。
子どもが1歳未満で育休復帰したときでも負担が少ない働き方ができる
育休から復帰したばかりの社員には、家事と育児に仕事が加わり、心身へ大きな負担がかかります。時短勤務と週1~2日のテレワークを併用することで、通勤負担が減り、就業継続への意欲が高まるケースがあります。
家族との時間が取れる
通勤や移動にかかっていた時間を、子どもとのコミュニケーションの時間に充てることができ、ワーク・ライフ・バランスが向上します。
企業にとってのメリット
テレワークを導入するメリットがあるのは、社員側だけではありません。企業側にも大きなメリットがあります。
通常欠勤となる状況でも、テレワークで勤務時間が確保でき業務への支障が減る
子どもがインフルエンザやおたふくかぜなど、保育所への長期欠席が必要になる感染症にかかった場合でも、テレワークを利用できれば業務への支障が軽減できます。また、保護者である社員自身も感染症にかかる可能性がありますが、テレワークをすることで社内への感染を防げます。
女性社員をフォローする周りの負担が減る
テレワークによって、在宅でも仕事を進めることができるため、欠勤する社員の業務を周りが負担する必要ありません。また、テレワーク社員が出社した際の業務連絡もスムーズになります。
企業価値や社員のモチベーションが上がる、入職希望者が増える
社員にとって働きやすい環境が整うことで、経験豊富で優秀な人材の流出が防げます。企業にとっては、離職の抑止、人員確保・補充のコストカットが期待でき健康経営においても非常に有用です。また、社員の仕事に対するモチベーションが上がるとともに、企業イメージが向上し、入職希望者の増加にもつながります。
通勤費が削減できる
テレワークの導入により、オフィス維持費や通勤費のコストを削減できる場合があります。
子育て中の女性社員にとってのデメリットと解決策
メリットが多いように思えるテレワークですが、社員からみたデメリットと解決方法を見てみましょう。
オンとオフが分けにくくなる
自宅で作業をしていると、オンとオフが区別しづらくなります。できれば書斎など仕事に集中できる場所で作業する、子どもが健康なときには保育所を利用する、何時から何時までは仕事中だということを家族に十分に理解してもらうなど、それぞれの環境に合わせて対策しましょう。
社員同士のコミュニケーションが不足する
テレワークをする社員にとって、他の社員とのコミュニケ―ション不足や情報格差は、不安材料となります。テレワーク中でも社員間のコミュニケーションが取れるよう、Eメールや情報共有ツールなどの利用が問題解決に有効です。
企業にとってのデメリットと解決策
テレワークの導入が企業に与えるデメリットもいくつかあります。しかし、十分に準備をし、段階的にテレワークを導入していくことで、リスクを回避できるでしょう。
情報漏洩のリスクがある
テレワークの最大のデメリットが、機密情報の漏洩です。盗難や紛失をはじめ、フリーWi-Fi利用による通信内容傍受、カフェや図書館などでののぞき見などによって、機密情報が漏洩するリスクがあります。
解決のためには、まずルールによるセキュリティ対策が必須です。社員のセキュリティ意識を高めるよう研修を行うことや、テレワークに関する社内規則を整備しなおすことなどが該当します。
同時に、技術的・物理的な対策も必要です。ログオン時の認証強化やデータの暗号化を進める、テレワークをする社員にはポケットWi-Fiを貸与してセキュリティを確保する、テレワークに使用するパソコンにはのぞき見防止用のフィルターを取りつけるなど、二重三重の対策を行いましょう。
女性社員のマネジメントがしにくくなる
企業側は「テレワークをする社員がきちんと仕事をしているのか不安」であり、社員側は「しっかり働いていることを正当に評価してもらえるか不安」になります。
Eメールや電話、または勤怠管理ツールを用いて勤怠状況を管理するほか、在席を記録するプレゼンス管理ツールを導入する、ノルマの達成度を基に仕事の出来を判断するようにするなど、それぞれの企業や部署に応じたマネジメント方法を、よく話し合って決めておくようにしましょう。
コミュニケーションが取りづらくなる
社員間のコミュニケーション不足が原因で、長年導入していたテレワークを廃止した米国企業の例があります。
テレワーク時のコミュニケーションを補うためには、電話やEメール・チャットを適切に用いることや、WEB会議システムによる打ち合わせ、社員間でデータやドキュメント・スケジュールを共有できる情報共有ツールを利用するなどが有効です。
社内勤務する人に負担がかかる
オフィスでは急な電話応対や訪問者などがあり、テレワークをする社員が増えれば、社内勤務の人の負担が増えることになります。社員間でデータやスケジュールなどの情報共有を進めておくことは、その負担軽減にもつながるでしょう。
まとめ
子育て中の女性社員にとって、テレワークの導入は、子どもの病気や配偶者の転勤などで通勤が困難になっても働ける、子どもと過ごす時間が増える、心身にゆとりが生まれる、など大きなメリットをもたらします。また、健康経営を推進する企業側にも多くのメリットがありますので、現行制度やルールを残しながら段階的にテレワークの導入を進め、少しずつ対象者や対象業務、テレワーク日数を増やしていくようにするとよいでしょう。
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