2020年3月2日、「健康経営銘柄2020」の選定結果が、経済産業省のウェブサイトで発表されました。
第6回目となる「健康経営銘柄2020」では、過去最多の30業種40社が選定されています。

今回の記事では、「健康経営銘柄2020」選定企業の傾向と、各社の健康経営の取り組みの実例をご紹介します。

Contents

「健康経営銘柄2020」選定企業の傾向

まずは、「健康経営銘柄2020」に選定された企業の傾向についてご紹介します。

過去最多30業種40社を選定(「健康経営銘柄」 選定企業数)

「健康経営銘柄2020」では、過去最多となる30業種40社が選定されました。
「1業種1社」ルールが緩和された前回の「健康経営銘柄2019」よりも5社増えており、「健康経営」に取り組む企業の全体的なレベルが向上していることがわかります。

「健康経営度調査」の回答企業数
表1:「健康経営銘柄」選定企業数

回答企業数が大幅に上昇(「健康経営度調査」回答企業数)

下のグラフでわかる通り、「健康経営銘柄」制度が始まった「平成26年度 健康経営度調査」では493社だった回答企業数が、令和元年度には2,328社と約4.7倍に増加しました。
(「令和元年度 健康経営度調査」に回答した企業の中から、「健康経営銘柄2020」・「健康経営優良法人2020」が選定されます)
それだけ「健康経営銘柄」および「健康経営優良法人」の認知度が向上して、選定を目指す企業が増えたと言えます。

「健康経営度調査」の回答企業数
表2:「健康経営度調査」の回答企業数

初選定が11社、6年連続が6社(「健康経営銘柄」選定回数)

「健康経営銘柄2020」では11社が初選定です。
また2015年の制度開始以降、花王、TOTO、テルモ、東急、SCSK、大和証券グループの6社が6年連続で選定されています。
上場企業3,776社のうち6社のみですので、これは容易なことではありません。

選定回数企業数
初選定11 社
2回目11 社
3回目5 社
4回目4 社
5回目3 社
6回目6 社
表3. 「健康経営銘柄2020」選定企業の選定回数と企業数

健康経営宣言

ここからは、選定された40社が実際にどのような取組を行ったのか、実例をご紹介していきます。
まずは健康経営を導入するにあたり、多くの企業が初めに行う「健康経営宣言」です。

「健康経営宣言」の策定

選定40社中29社が「健康経営宣言」を策定し、ウェブサイトなどで公表しています。
他の11社では、「健康づくり」を行動基準や企業理念に含める、中期経営計画の目標とした企業があります。

国際石油開発帝石日本国土開発ニチレイニッポン高度紙工業など初選定のほとんどの企業で「健康経営宣言」または「健康宣言」の名称ですが、小野薬品工業は社は名称が異なります。

健康経営宣言の内容

経営者によって出される健康経営宣言の形式は、企業によって様々です。

第一工業製薬 の健康宣言

第一工業製薬ではこの健康宣言を実現するために、「従業員健康行動指針」や「健康経営推進施策」などを別途定めて運用しています。

住友電工グループの健康経営宣言

住友電気工業でも健康経営宣言を履行するため、「社員や家族の健康増進活動への支援」といった「3つの重点対策」を掲げています。

国際石油開発帝石の健康宣言

国際石油開発帝石では、企業が健康管理を経営課題として捉え、従業員とその家族の健康保持・増進に取り組むことを明確にするため、2018年9月に「INPEX グループ健康宣言」を制定しました。

経営理念などで「健康づくり」を掲げる企業も

選定企業の中には、経営理念などで「健康づくり」を掲げる企業もあります。

例えばキャノンでは、創業時の経営理念である5つの行動指針の中に「健康第一主義」が含まれており、企業文化としてグループ全体で健康経営を推進。

また愛知製鋼では、中期経営計画(2017〜2020年)の中で「チーム活動活性化による自己管理意識の向上」を挙げ、この目標に基づいた活動を推進しています。


専任部署の有無

選定企業の多くでは、健康経営を進めるために委員会などが設置されていますが、中には「専任部署」を持つ企業もあります。

専任部署をもつ企業は16社

「健康経営銘柄2020」選定企業40社の中で、中心となって健康経営を推進する「専任部署」を持つ企業が16社あります。
たとえば次のような部署です。

  • 働き方改革推進室【日本国土開発】
  • ニチレイ健康推進センター【ニチレイ】
  • 管理部 安全管理課【ニッポン高度紙工業】
  • 健康経営推進室【東急不動産ホールディングス】

施策立案と実行をコラボヘルス体制で運営【コニカミノルタ】

コニカミノルタでは健康宣言に基づき、会社と健康保険組合のリソースを最大限活用できるよう、施策立案と実行をコラボヘルス体制で運営しています。

ヘルスアップ委員会を中心とした体制を確立【小野薬品工業】

小野薬品工業ではヘルスアップ宣言のもと、会社・労働組合・産業保健スタッフ・健保組合による「ヘルスアップ委員会」を中心とした健康経営体制を確立しています。

産業医や保健師、健保組合との連携が重要

「専任部署」を持たない企業では、委員会や会議で健康経営を進めています。

しかし選定企業の取組内容を見ると、部署の有無よりも、下図の日本国土開発のように「産業医や保健師、健保組合などと連携が取れているか」のほうが重要なようです。
どの選定企業でも連携が取れており、データを共有し(コラボヘルス)、従業員に対して的確なフィードバックを行っていました。


取り組みの成果と報告

健康経営の成果については、多くがウェブサイトに記載していますが、健康白書を発行している企業やIR資料にも記載しているケースもあります。

①ウェブサイトで実績値などを公表

多くの企業がウェブサイトで成果を数点報告していますが、詳細なデータを公表している企業もあります。

健康関連実績値17項目を公表【第一工業製薬】

第一工業製薬は、ウェブサイトで2016~2018年度の健康関連実績値17項目を公表。
定期健康診断受診率や二次検診受診率は100%を維持するほか、どの値も順調に改善されています。
参考:第一工業製薬 健康関連数値

従業員の健康リテラシー度を評価【TOKAIホールディングス】

TOKAIホールディングスでは、従業員の健康リテラシー度を測定し、評価結果を公表しています。
こうしたデータを確認することで、健康リテラシーを向上させることの重要さがよくわかりますね。
参考:TOKAIホールディングス 健康リテラシーの高い従業員の傾向

②健康白書で取組内容や実績値を公表

健康白書を作成して、取組内容や実績値を公表している企業もあります。

特に『丸井グループ 共創ウェルネスレポート2019』では2014年〜2019年までの、24項目にもわたる定量データを記載しています。

次の企業も健康白書を作成していますが、ウェブサイト等での公表は行っていません。

  • ニチレイ健康白書
  • 大和証券健康白書

③IR資料などで実績値を公表

ウェブサイトの他に、IR資料で実績値を公表している企業もあります。


選定企業が行った取組内容 TOP3

40社が健康経営の取組内容として公表している中で、多かった取組内容TOP3をご紹介します。

【3位】受動喫煙対策(32社で実施)

選定40社中32社が実施と公表している「受動喫煙対策」。
「健康経営銘柄2019」から、選定する上での必須項目となっています。

「事業所内を全面禁煙に」という企業が多い中で、従業員の禁煙を進めるプロジェクトを行ったのが小野薬品です。
タバコに関する社内アンケートを行い、その結果を公表。
各種禁煙サポートや禁煙コンテストなどを行った上で、事業所内の全面禁煙を行いました。

【2位】運動機会の増進に向けた取組(33社で実施)

33社で実施された「運動機会の増進に向けた取組」には、次のようなものがありました。

  • 高知竜馬マラソンへの参加費用を会社が負担【ニッポン高度紙工業】
  • ウォーキングイベントで、歩数目標の到達に応じてインセンティブを付与する「健活インセンティブ」【住友電気工業】

【1位】従業員への教育機会の設定(34社で実施)

最も多い、34社が行ったのが「従業員への教育機会の設定」です。
内容は各企業が重点目標としている項目で、次のようなセミナーが開催されています。

  • 「睡眠」や「働く女性のヘルスケア」をテーマにしたセミナー【東急不動産ホールディングス】
  • 睡眠衛生教育の実施:86名参加、食事に関する健康セミナー:27名参加【TOKAIホールディングス】
  • 東大附属病院准教授によるがんセミナー:72名参加【住友電気工業】

選定企業が行ったユニークな取組内容

ここでは「健康経営銘柄2020」選定企業が行った、ユニークな取組をご紹介します。

各職場から「健康経営サポーター」を募る【日本国土開発】

日本国土開発では、「健康経営サポーター」制度を実施しました。
各職場から「健康経営サポーター」を募り、各自が目標を宣言して、活動を報告・発信していくものです。
上から一方的に押し付けられたことをやるのではなく、主体的な運動を推奨します。

施策を複合的に行い「歩くこと」を習慣化へ【東急不動産ホールディングス】

「歩くこと」を習慣化するために、東急不動産ホールディングスでは、次のような施策を行いました。

  • 社内用スマホに入れた健康増進アプリの歩数計機能を活用
  • 歩数に応じてインセンティブを付与
  • スニーカーでの通勤を奨励
  • 足の疲労回復のための「オフィスリラクゼーションサービス」の実施

このように施策を組み合わせて、目標を達成することも一つの方法ですね。

「体験カウンセリング」によって利用のハードルを下げる【第一工業製薬】

第一工業製薬では、新入社員全員に「体験カウンセリング」を実施しました。
新入社員は不安をため込みやすいですが、カウンセリングなどの施設を利用するのは、勇気がいるものです。
そこで一度体験してもらったところ、「カウンセリングに対するハードルが下がった」との結果になりました。


まとめ

今回は「健康経営銘柄2020」選定企業の傾向や、取組事項などをご紹介しました。
「健康経営度調査」回答企業が大幅に増加し、健康経営の認知度も上がっている昨今、「健康経営銘柄」に選定されることはより厳しさが増していると言えます。

この記事でご紹介した40社の取組内容を参考に、貴社の健康経営への取組が進めば幸いです。

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