生活習慣病患者は年々増え続け、医療費の3割・死亡者の5割を占めるまでになっています。
それではなぜ、生活習慣病患者は増え続けているのでしょうか?
参考:生活習慣病とは?医療費の3割を占め、増え続ける患者数の現状と予防対策もご紹介

今回は、テーマ「増え続ける生活習慣病に対するポピュレーションアプローチ」における「生活習慣病の発症リスクを高める要因」として、健康格差・長時間労働と生活習慣病との関連、そして企業がとるべき対処法をご紹介します。

生活習慣病の発症リスクが高まる「健康格差」

生活習慣病の発症リスクを高めると言われる、「健康格差」とは一体何なのか。
「健康格差」とその事例について、ご紹介します。

健康格差とは?

健康格差とは、「地域や社会経済状況の違いによる集団における健康状態の差」と定義されています (*1)。
所得や学歴といった「社会経済状況」、そして雇用形態や職種といった「労働環境」によって、個人の健康状態が違ってくると、多くの研究結果が示しています。
所得格差が、健康格差を生んでいるのです。

一例として、上のグラフは「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度」を所得別で表しており、所得が多いほど「バランスの良い食事」を取れています。
逆に所得が低いほど「バランスの良い食事」の頻度が低く、世帯の所得によって栄養の摂取量に差が出ていることがわかります。

また「社会経済的な格差」が健康格差を生じさせると、この健康格差によってさらに「社会経済的な格差」を拡大させてしまうという悪循環も指摘されています。
そのため日本でも健康格差を是正する動きが活発になっており、「健康日本21(第2次)」において社会環境整備を通じた健康格差の縮小を目指しています (*2) 。
参考*1:厚生労働省 健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料
参考*2:健康日本21(第2次)

糖尿病患者の6割が年収200万円未満

全日本民主医療機関連合会(民医連)が、全国96施設782人の40歳以下の2型糖尿病 (*3)患者を対象に調査を行った結果 、57.9%の世帯が年収200万円未満という結果でした (*4) 。

また同調査で、糖尿病の慢性合併症 (*5) のひとつである糖尿病網膜症と社会経済状況を調べたところ、貧困など社会経済状況が低い人ほど有病率が高かったのです。

研究チームによると、海外でも「社会経済状況が低い人ほど糖尿病合併症が多い」とする研究結果が数多く報告されており、この研究結果を「患者さんの経済状況、学歴などを問診する」など実際の診療に速やかに生かしていく必要があるということでした。

参考*3:インスリン分泌不全またはインスリン抵抗性による糖尿病。最も一般的な糖尿病で、10人に9人は2型糖尿病である
参考*4:民医連 放置されてきた若年2型糖尿病
参考*5:糖尿病により、血糖値が高いまま何年もの間治療されないことで、血管が傷ついて起こる病気

低所得者の4割は健康診断未受診

厚生労働省の調査 (*6) によると、年収200万円未満の男女の健診未受診者の割合が4割を超え、男女ともに所得別で最も多いことがわかりました。男性だけの未受診者を見ても以下のとおり、低所得ほど未受診率は高く、明らかな格差が見られます。

所得健診未受診者の割合
600万円以上16.7%
400万〜600万円19.2%
200万〜400万円29.8%
200万円未満40.7%
「厚生労働省 平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要」から作成

「早期発見・早期治療」に健診は、大変有益です。
「所得に左右されず健診を受診できる」体制づくりが、必要になっています。

参考*6:厚生労働省 平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要


長時間労働と生活習慣病の関連性

ここでは、健康格差のひとつでもある「長時間労働」が、生活習慣病とどのように関連するのかをご覧ください。

「就業時間が週60時間以上」で肥満の割合が高い傾向に

「平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要 (*7) 」を見ると、就業時間が週に60時間以上の従業員は、男女ともに肥満の割合が最も高くなりました。肥満は多くの生活習慣病を引き起こす要因となるため、早急な改善が必要な項目です。

女性の糖尿病リスクを上昇させる長時間労働

カナダで発表された研究によると、「労働時間が週45時間以上の女性は、週35〜40時間の女性に比べ、2型糖尿病を発症する確率が63%も上昇する」ことがわかりました (*7)。

研究者によると、「女性は家事や育児に費やす時間が必要なため、食事や健康といった自身の健康管理に費やす時間が少ないのではないか」とのこと。
週の労働時間が30〜40時間であれば、糖尿病のリスクは上昇しなかったそうです。
参考*7:BMJ Clocking up 45+ working hours/week linked to heightened risk of diabetes in women

長時間労働を続けることで定年後に心筋梗塞になるリスクも

「長時間労働の男性は、急性心筋梗塞のリスクが高まる」という研究結果が、国立がん研究センターによって発表されました (*8) 。
これによると1日11時間以上の長時間労働をしている人は、7~9時間労働者と比べ、発症リスクが1.6倍に高まります。
そして50歳代で長時間労働をした男性は2.6倍とさらに上昇しています。

定年後に健康的に過ごすためにも、長時間労働は避けるべきとデータが表しています。
参考*8:国立がん研究センター 予防研究グループ


従業員の生活習慣病予防のため企業がとるべき対処法

健康格差や長時間労働が、生活習慣のリスクを高める実態がわかりました。
そこで、ここでは企業が従業員の生活習慣病予防のために、とるべき対処法をご説明します。

「働き方改革」関連法の遵守

「働き方改革」は、「長時間労働の是正」などを目的に2019年4月1日から関連法が施行されています。
「働き方改革」関連法を遵守することで長時間労働が是正され、生活習慣病予防につながります。
しかし、エン・ジャパンが行った調査 (*9) では、「時間外労働(残業)の上限規制」について31%の企業が「対応できていない」との回答でした。

特に中小企業では対応が難しいところもあるようですが、法的な義務であり、従業員の心身の健康のためにも早急な対応が必要となっています。
参考*9:エン・ジャパン 働き方改革法の対応状況について

従業員の「定期健康診断」受診率を100%に

「平成24年 労働者健康状況調査」によれば (*10) 、過去1年間に従業員に定期検診を実施した実施率は91.9%でした。
事業所規模別に見ると、500人以上の規模では100%の実施率でしたが、規模が小さくなるほど実施率は下がります。

事業所規模実施率
5,000人以上100%
1,000〜4,999人100%
500〜999人100%
300〜499人99.7%
100〜299人99.5%
50〜99人98.2%
30〜49人96.8%
10〜29人89.4%
「平成24年 労働者健康状況調査」から作成

また、定期健診を実施しなかった理由で多かったのは、次の回答でした。

  1. 「健診を実施する時間が取れない」(43.4%)
  2. 「健診を実施する費用がない」(34.6%)
  3. 「健診を実施する健診機関がない」(14.3%)

疾病の早期発見のため、全ての企業で定期健診の実施率100%を目指すことが必要です。
参考*10:厚生労働省 平成24年 労働者健康状況調査

「ポピュレーションアプローチ」による健康づくり

ポピュレーションアプローチとは、「集団全体に働きかけを行うことで、その集団全体がリスクの軽減や病気の予防を行える」手法で、様々な団体が取り入れて実践しています。
例えば富山県滑川市では、地域保健と職域保健が連携して市民の健康づくりを支援する「なめりかわヘルスアップ21推進事業」に取り組んでいます。

このような手法によって、企業全体での健康維持を行うのも有効な手立てです。


まとめ

今回は、テーマ「増え続ける生活習慣病に対するポピュレーションアプローチ」における「生活習慣病の発症リスクを高める要因」として、健康格差・長時間労働と生活習慣病との関連、そして企業がとるべき対処法をご紹介しました。
健康格差や長時間労働は、放っておけば従業員の健康を蝕んでいきます。
ご紹介した対処法を実践し、企業と従業員のリスクを減らしていきましょう。

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