国際学会「第13回 Pan-Pacific Continence Society」にて世界初・当社システムによる自宅や施設のトイレにセンサを取り付けるだけで使える排尿モニタリングの測定精度に関する研究成果を発表しました

サイマックス株式会社(以下サイマックス、代表取締役社長:鶴岡マリア)が開発した尿による 健康モニタリングシステム「self-health monitoring system in urine」(以下、s-HMSU)について、 国立大学法人琉球大学(琉球大学)が実施した測定精度検証を目的とした研究成果が2018年10月18 日~20日に開催された「第13回Pan-Pacific Continence Society (PPCS) Meeting」(以下、 PPCS 2018)にて発表されました。

s-HMSUは、世界初、既存のトイレにセンサーを取り付け、トイレでいつも通り排尿をするだけ で排尿モニタリングができるシステムです。本研究の結果、s-HMSUでの測定結果と、実際の排尿 量との相関は0.902と高い値を示し、排尿モニタリングシステムとして信頼性の高いシステムである ことが証明されました。

今後、s-HMSUが実現した全自動の排尿モニタリングシステムによって、患者負担の軽減や医療従 事者の負担軽減、院内感染対策への貢献が期待されています。

第13回 Pan-Pacific Continence Society 概要

開催国:台湾
会期:2018/10/18~ 2018/10/20
領域:腎臓科、泌尿器科
原題:Validation of a novel self-health monitoring system in urine in Kumejima Digital Health Project (久米島デジタルヘルスプロジェクトにおける初の尿を使ったセルフヘルスモニタリングシステム の検証)

発表内容

原題:Validation of a novel self-health monitoring system in urine in Kumejima Digital Health Project
著者:
Minoru Miyazato 1 , Koji Yonemoto 2,3 , Asuka Ashikari 1 , Seiichi Saito 1 , Kiyoto Yamashiro 4,5 , Moriyuki Uehara 4,5 , Hiroaki Masuzaki 5 , Hajime Ishida 6 , and Masayuki Matsushita 7

1.Department of Urology, Graduate School of Medicine, University of the Ryukyus, Okinawa, Japan
2.Advanced Medical Research Center, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
3.Division of Global Environmental Health, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
4. Kumejima Public Hospital
5.Division of Endocrinology, Diabetes and Metabolism, Hematology, Rheumatology (Second Department of Medicine)
6. Department of Human Biology and Anatomy
7. Department of Molecular and Cellular Physiology

サイマックスが開発した「s-HMSU」とは?

s-HMSUはサイマックスが開発した、世界初・既存のトイレに取り付け可能な全自動の排尿モニ タリングシステムです。一般的なトイレに取り付け可能であるため、自宅での排尿モニタリング( Home uroflowmetry)を実現するものです。 s-HMSUは以下の3つの特徴を備えます。 1. 既存の便器に、簡易に取り付けることができるセンサー。 2. 自動で排尿を検知して記録をするため、使用者は普段通りトイレで排尿をするだけで容易に 使える。不特定多数が使用するトイレにおいても利用可能。 3. 使用者は排尿後、約1分で測定結果を専用アプリを介して受け取ることができる。

記録項目:
排尿量(mL):VV
平均尿流量(mL/s):Qave
排尿時間(s): VT

s-HMSUに期待される医療業界への影響

s-HMSUは、排尿障害をはじめとする泌尿器の異常を持つ患者および泌尿器科医や看護師などの 医療従事者に貢献する、全自動の排尿モニタリングシステムです。

「排尿の問題」は患者のQoL(生活の質)を大きく低下させるものですが、その患者数は多く、 今後さらに増加することが予測されています。40歳以上の年代層で810万人(12.4%)が過活動膀胱 を、 尿失禁や尿勢低下は、それぞれ2,100万人(31.8%)、2,500万人(37.9%)もの人が有していると 言われています。(*1)日本を含む高齢化が進む国々においては、この割合は更に増加していくことが 予測されています。現状では、本人自身が「年のせい」としてしまい医療機関を受診しないことも 多く、かかりつけ医でも具体的な治療が施されていないことも多く見受けられます。しかしなが ら、適切な診断と治療を行えば、多くの場合、排尿の問題は改善し、患者のQoLを向上させること ができます。

「排尿の問題」に医師がアプローチをする際、排尿量や排尿時間などの排尿記録が用いられま す。s-HMSUは全自動の排尿モニタリングシステムで、患者および医療従事者の負担を以下のよう に軽減することができます。

(*1):本間之夫, 柿崎秀宏, 後藤百万, 武井実根雄, 山西友典, 林邦彦. 排尿に関する疫学的研究. 日本 排尿機能学会 雑誌14:266-277, 2003

① s-HMSUによる全自動の排尿記録は、患者負担を大きく軽減する

排尿障害を持つ方は「排尿日誌」と呼ばれる排尿の記録を24時間つけることで、泌尿器科などの 専門医より適切な対処を受けることができます。

現在の排尿日誌は、患者本人が、最低2~3日間24時間、トイレに行った時間と排尿量を記録します。目盛のついた400~500mlの紙コップを手渡し、1回ごとに紙コップの目盛をみて排尿量を読み 取ることで排尿量を測り、排尿日誌に記入します。このように、従来の排尿日誌は、患者の負担が 大きく、また情報の正確性が担保されるものではありません。

s-HMSUは、既存の自宅のトイレに容易に取り付けることができ、いつも通り排尿をするだけで 排尿量や時間を全自動で計測し、記録することができます。これにより、患者負担を大きく軽減す ることが期待できます。また、全自動測定によって記録ミスなどを防ぐことができ、より正確な情報を医師が取得することができます。

② s-HMSUによる全自動の排尿モニタリングは、院内感染対策に貢献する

泌尿器科の患者をはじめとして院内で排尿量を記録する際は、一般的に採尿カップに尿をいれる ことでカップの目盛りを見て排尿量を測ります。s-HMSUは、このときに発生する医療従事者の作業軽減をはじめとして、採尿カップの洗浄や尿の廃棄作業などの後処理を不要にすることで、院内 感染の原因を減らし、院内感染リスクの低減に貢献することができます。

③ 泌尿器や循環器疾患の早期発見など、新たな医学的発見につながる

これまでの排尿記録は、基本的には排尿障害があると医師が診断した後に記録を開始するため健 常者や境界型の方の情報が少なく、また記録そのものが患者のアドヒアランスの程度に依存するた め正確性に欠けることが指摘されていました。今後、s-HMSUによって取得される自宅での自然な 排尿モニタリング情報を分析することにより、泌尿器や循環器疾患の早期発見などに貢献する医学 的な発見が期待されます。